操練所: 武藤さんはどんな事業をされているのですか?

武藤さん:神戸と夙川で発達障害のある子ども達を対象とした音楽教室を運営しています。 “発達障害のある子供の自己肯定感を高める”ことをミッションとしています。今は55名(1歳7ヶ月~21歳)の生徒さんがレッスンに来てくれています。

操練所:レッスンはどのようにおこなうのですか?

武藤さん:入会前にまず、おひとり、おひとりの体験レッスンをオーダーメイドで組み立てています。言葉の理解がどのぐらいなのか、発達検査の数値がどのくらいなのか、親御さんの想いや願い、お子さんの特性や好きなもの等、様々な事を細かくヒアリングシートに記入いただき、その情報をもとに、体験レッスンプログラムをご用意します。
体験レッスン中の様子もビデオに撮り、あとで振り返り、お子さんの表情や行動を細かく分析し、親御さんと相談しながら実際のレッスンを組み立てていくといった形です。

操練所:ひとりの生徒さんに対して、とても細かく準備作業をされるのですね。

武藤さん:そうですね。発達障害といっても、ひとりひとり様々です。そのお子さんに合ったカリキュラムを立てながらオーダーメイドでレッスンを組み立てていくのが特徴です。またABA(応用行動分析)という理論をベースとして、「行動」と「環境」の相互作用から分析し、それぞれの生徒さんを感覚的にだけでなく、理論的にも理解するようにしています。

操練所: 武藤さんが起業に至った経緯を教えてください。

武藤さん:以前は東京で特別支援学校で教員をしていたのですが、結婚を機に退職して神戸に引っ越して来ることになりました。結婚が転職を考える機会となったのですが、自分が今後、『誰にどうなってもらいたいのか』を仕考えたら、やっぱり発達障害を持つ子ども達やご家族の笑顔が見られる仕事がしたいと思いました。彼らと一緒に音楽をする時間が私自身、とても好きだったので、それがツナガリMusic Lab.を始める一番の理由だったと思います。

操練所: 実際に事業を始められてどうですか?

武藤さん:垂水教室は満席の状態で、10名以上の方に待ってもらっている状態です。私の他に4名のスタッフと一緒に運営しているのですが、もっと仲間を増やして、来たいと言ってくださるお子さんすべてに対応できるぐらいになれればいいのですが、音楽と障害児教育両方の専門性が必要であるので、スタッフ探しや教育も難しい点であります。

操練所: お仕事で一番のやりがいはどんなところですか?

武藤さん:子ども達が楽しそうに嬉しそうにしている姿を見られるのが醍醐味です。そしてその姿をみて中には感激して泣いてしまう親御さんがいたり。お母さんが「見て見て!すごいでしょう!」とご兄弟を連れてこられたり、おじいちゃん、おばあちゃん、家族総出できてくれたり。【ツナガリ】がそんなお子さんと家族の居場所になっていると感じる事が、とても嬉しいです。

操練所:教室をされていて大変な事はありますか?

武藤さん:やはり講師教育の難しさがありますが、昨年講師の先生たちと一緒に取り組む中で指導マニュアルや講師の成長モデルを完成させることができました。また、「まだうちの子には早かったかも・・」と、生徒さんが教室を辞めてしまったときはそう思わせてしまったことに申し訳ない気持ちで一杯になりましたし、今も何度も思い返して他にできることがあったのではないかと考えさせられています。

操練所:起業準備はどのようにすすめられたのですか?

武藤さん:まず先輩起業家やコンサルティングの方に相談したり、起業塾に行ったり、事業計画書を書いたり、ビジネスコンペに出したりしました。

操練所:いろいろ準備をされての起業なのですね。操練所のセミナーや個別相談会もご利用いただいていますね。ありがとうございます。今後の課題や目標はありますか?

武藤さん:一緒に働いてくださる先生方の教育と、また事業の法人化を考えいるのですが、どのような形態がいいのか(株式会社かNPO法人か等)考えているところです。事業を広げていくには、私一人では到底できません。昨年夏頃、スタッフを育てていく難しさもヒシヒシと感じていたろころ、“優等生を辞めなさい、そんなことをやっていたら周りも苦しくなっちゃうよ” とある方に言われ(笑)、私自身の在り方みたいなものも、いろいろ考えたこの一年でした。

操練所:今後の事業の目標はありますか?

武藤さん:一人でも多くの発達障害のある子どもたちとご家族にレッスンを届けていきたいので、事業を全国に広げていきたいです。それが私が経営する直営店でなくてもいいと思っています。適切なサポートができる講師を養成して、子ども達が笑顔になれる場を作ってくれる人が増えてくれればいいと思っています。
発達障害のある子ども達に対して適切に対応できる人が増えて、それが当たり前になり、子ども達とご家族の笑顔がもっと輝く社会になって欲しいです。

操練所:素敵な想いですね。大変だと思いますが、ぜひ達成してくださいね。本日はお時間ありがとうございました。

(編集後記)
初対面の印象は小柄でフェミニンな印象の武藤さん。優等生と言われるのが納得な聡明な印象で、すべての質問に対して、とても丁寧にわかり易く答えてくださいました。ご自身の事業に使命感と責任感を持って取り組んでいらっしゃる姿は、実際に笑顔に変わっていく子供達と日々過ごされているからなんだと思いました。全国展開もきっと遠い未来ではなさそうな予感です。

武藤さんの教室:【ツナガリミュージックラボ】ウェブサイトはコチラ↓
http://www.tsunagari-music.jp/